君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
差し出された手。

その手をすぐに握り返した。

本当、こんな私を好きになってくれてありがとうございました。
そして、私の気持ちを分かってくれてありがとう。

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次の日、夕方。札幌空港。

「…どういうこと?」

長かった出張を終え、東京へと戻ろうとしている空港のロビーでスマホを持つ手が震える私。

「なによ、このメールは!」

さっきまで一緒にいた副社長。私が秘書課のみんなへのお土産を選んでいる間にいつの間にかいなくなってしまっていた。
探していると、送られてきたメール。

『失恋の傷を癒すためにもい一泊して明日の午前中の便で帰るから、適当にフォローよろしくね♡』

「なにが♡よっ!!」

人混みの中だということも忘れてつい大きな声が出てしまった。

今すぐにでも副社長を追い掛けて連れ戻したいけど、どこにいるかも分からないから探しようがない。
それに私まで乗り逃して今日中に戻れなくなってしまったら大変だ。

「…仕方ないか」

鞄の中からスケジュール帳を取り出し明日の予定を見ると、社内での会議があるだけ。午後には出社してくれればどうにかなりそうだし。

だけど絶対副社長、観光したかったのよね。着いたときからずっと言っていたし。
それに失恋の~とか言われたら私がなにも言えなくなるのを分かっているんだろうな。

「…本当、しょうがない人」

40にもなる男で会社の時期トップなのに。
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