君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
今まで自分の容姿のことなんて、気にしたこと一度もなかった。
素の自分が好きだったし、菜々子みたいに肌の手入れや化粧、ファッションに気を遣うのなんて、まっぴらごめんだった。
彼氏なんて必要なかったし、最悪このまま一生独身でもいいかと思っていた。

だけど今、こうやって和也君と出逢ってしまって、和也君を好きになって、そんな過去の自分に後悔している。
もっと前からちゃんと女子力を上げておけばよかったって。
そうしていれば今、こんなにも自分のことを嫌いにならずに済んだのにって……。

菜々子が東野さんに片思いしていた時の気持ち、今の私なら痛いほど分かる。
どうにか自分に振り向いて欲しくて、頑張っているのに全然で。不安や焦りばかりが募っていく。
そんな菜々子をバカにしていたのにな。
人生ってなにが起きるか分からない。まさか自分がこんなに恋愛に溺れてしまう人間だったなんて……。

「…戻るか」

ずっとトイレにいるわけにもいかない。
そう思い、もう一度鏡に写る自分を見てゆっくりとトイレを後にする。


菜々子みたいに女子力が高くて、可愛くて素直で。
そんな女だったら、よかったのに。

女子力が低くて、素直になれないし、つい可愛げのないことばかり言っちまうし。
自分の気持ちを素直に伝えられない。

はっきり言ってこんな自分なんか、大嫌いだ。
< 310 / 368 >

この作品をシェア

pagetop