君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「……さて、悪いけど五條さん、連れて行くから」

「はい」

だけど聞こえてきた声は間違いなく和也君で、口を塞いでいた手を離すと今度は私の腕を掴み、ツカツカと歩き出した。
振り返り見ると、菜々子は笑顔で呑気に手を振っていた。
そんな菜々子が気になりつつも、もっと気になるのは今、私の腕を掴んで前を歩く和也君。

「……和也君?」

どうしてこんなところにいるのか。
どうしてタイミングよく現れたのか。
……どうしてこうやって私を連れ出しているのか。
聞きたいことは沢山ある。
なのになかなか言葉が出てこない。

一週間しか会っていなかっただけなのに、すごい久し振りな気がして仕方ねぇ。
それになりより、腕を掴まれていてどうしたらいいのか分からない。
和也君は今、どんな気持ちでいるんだ……?
それが気になって仕方ない。

そんなことを考えているうちに店の外へ出て行き、そして見えてきたのは見覚えのある車。

「取り敢えず乗って下さい」

そしてこの前と似た流れ。

どうして和也君がここにいるのか分からない。
でもきっとこの車に乗ってしまったら、また前みたいに家まで送ってくれるだけなんだろ?
菜々子同様、ずっと会いたくなかった。
だけど違ったんだ。
本当は私……すっげ和也君に会いたかったんだ。
< 361 / 368 >

この作品をシェア

pagetop