君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「...なんかスッキリしたわ。話を聞いてもらえて」


「えっ?」


「いいものね。自分のピンチの時にこうやって弱音を吐ける友人がいるって」


「橘さん....」


私を見て笑う橘さん。
そんな橘さんを見ると、さっきまで言葉が出てこなかったのが嘘のように自然と出てくる。


「私はなにがあっても橘さんの味方だからね」


「...櫻田さん」


そうだよ。簡単なことだったのになんでさっきまでこの一言が出てこなかったんだろう。

私は橘さんのことが大好きで、友達で。なにがあっても橘さんの味方。


「例えバツイチになっても橘さんの味方よ」


本当は『離婚なんてしない方がいい』『光太君はどうするの?』『一人で育てられるの?』『ちゃんと話し合わなくていいの?』って沢山言わなくちゃいけないのかもしれない。
でも私がどんなに言ったってこれは橘さんと藤原さんの問題だし、橘さんの人生だし。
なら友人の私に出来ることと言えば、橘さんの味方でいることよね?


「味方...ね。それは随分頼もしいわ。...本当、に...」


隣から聞こえてきたのはか弱い途切れ途切れな声。


「橘さん...」


橘さんは拭うことなく涙を流していた。


「ありがとう...。本当。...気持ちが軽くなった、わ...」


橘さんの涙の意味は...


「うん...」


涙の意味は正直分からない。


橘さんと距離を縮めそっと寄り添う。


きっと色々な感情がこみ上げてきちゃったのよね?
そんな簡単に藤原さんを嫌いになんてなれるわけないでしょ?
私より長い年月片想いしてて、大好きで大好きで堪らないんでしょ?
だから余計に嘘をつかれてショックで悲しくて。辛いんだよね?
分かるよ。橘さん。
橘さんの気持ち凄く分かる。好きで堪らない気持ちと、女としてのプライド。
...分かるよ。
だから何があっても絶対私だけは味方だからね。


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ーーーーー


「それじゃ行ってきます」


「えぇ。...気を付けて」


橘さんに見送られて家を出るのは、ちょっと不思議な気分。

週明けの月曜日。天気は快晴。朝から気持ちよい青空が広がっている。
今日はまた一段と暑い一日になりそう。


「...よし!行きますか」


きっと会社に行ったら藤原さんからなにかしらアクションがあるはず。
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