君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
冷静に聞いて、うまく藤原さんの気持ちを橘さんに伝えてあげたい。

だって心の奥底では、きっと橘さんは藤原さんとこれからも一緒にいたいって思っているはずだから。


お昼でも一緒に食べれればいいんだけど...。
私は一日社内勤務だから大丈夫だけど、問題は藤原さんよね。外回りじゃなければいいんだけど...。


そんなことを考えながらも最寄り駅に辿り着き、定期を取り出し改札を抜けようとした時、急に腕を引かれた。


「おい!さっきから呼んでるんだけど」


「えっ...藤原さん?」


私の腕を掴んだのは藤原さんで。


「えっ...なんで藤原さんがこんなところに?」


いるはずもいない人物が目の前にいて混乱状態の私。


「そんなの櫻田と話がしたかったから待っていたに決まってるだろ?さっきから呼んでいたのに気付かなかったのか?」


「...すみません。考え事してたもので」


そう答えると藤原さんは大きな溜め息を漏らし、掴んでいた腕を離してくれた。


「車で来ているんだ。少し話を聞いてくれないか?」


「はい。それは勿論...」


藤原さんの後に続いて助手席に乗る。



「会社着くの、ぎりぎりでも構わないか?なら遠回りしていくから」


「はい。今日は特に外出ないので大丈夫です」


「悪いな」


そう言うと藤原さんは車を走らせる。


本当は今すぐにでも藤原さんに色々聞きたいけど、聞けるはずもなくて。
静かな車内。エンジンの音だけが響く。


「...光太は元気か?」


先に口を開いたのは、勿論藤原さんだった。


「えぇ。私が家を出る時は寝ていましたけど」


「そっか...」


そしてまた途切れてしまった会話。


なによ、藤原さんってば。
藤原さんが聞きたいのは橘さんのことでしょ?
時間だってあまりないのに、なんで聞いてこないの?言い訳くらいしてこないの?

さっきまでは藤原さんから話してくれるまで待っていようと思っていたけど、いつまで経っても私の様子を伺うだけで何も話してこない藤原さんに怒りが募る。


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