君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「いつものふざけたノリで話し掛ければいいんですよ」


「ふざけたノリって...。ちょっと櫻田さんってば酷いんじゃない?」


そう言いながらノリノリで可哀想ないじめられッ子の演技をする副社長。


「あら、本当のことではないですか」


今の姿が特に。


「...でも、私はそんな副社長に救われた場面は沢山ありましたよ?」


「えっ...」


勤務初日からにこにこ顔で冗談言ってきて。かちこちだった私の緊張を解してくれた。

秘書課の中で今みんなとうまくいってるのも、副社長のおかげ。


「話してみないと副社長の良さはみんなには分からないと思います」


「...櫻田さん」


本当にそう思う。遠巻きから見ているだけじゃ分からない。
私もずっとそうだったから。


...まぁ、それでもやっぱり副社長の態度に時々イラッとしちゃう時もあるんだけどね。


「そっか...。うん、じゃあ櫻田さんに誉められたところでちょっと声掛けてみようかな」


「はい、是非」


最初は驚かれると思うけど、副社長の話術を持ってすれば大丈夫でしょ。


そんなことを思いながら残りのご飯を食べようとした時、


「おーい!営業部藤原軍団!一緒にこっちで食べたらいいさ。空いてるよー!」


「ぶっ!ごほっ!ごほっ」


思わずむせてしまった。


「あれ?櫻田さん大丈夫?」


「はっ、はい」


慌てて水を飲み副社長の先を見ると、そこには困ったように立ちすくむ藤原さんや小山君達営業部面々と、そしてそんな彼らと一緒に中山さんの姿もあった。


「なぜかみんな俺達の周りには座ってくれなくてさ。よかったらどうぞ」


ふっ、副社長...!
なんでよりによってこのタイミングであのご一行に声を掛けちゃうのよ!





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