君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
久し振りの大好きな人のぬくもりに涙は止まらない。

そんな私を圭吾さんは抱き締めてくれて。そしていつものように優しく頭を撫でてくれた。


「...俺の彼女はとんでもない女だな?オフィスで友達のために後輩を殴るなんて」


「なっ、なんでそれを...?」


私を離し、ジッと見つめられる。


「藤原から聞いたんだ。...だから急いで帰ってきた」


「藤原さんが...?」


「あぁ。菜々子がピンチだから帰ってきてくれって。...俺達のせいだから頼むって言われてな」


藤原さん...。


そっと涙を拭ってくれる圭吾さん。


いつも思っちゃうけど、久し振りに会うと圭吾さんがより一層かっこよく見えてどきどきしてしまう。

何気ない仕草にも全て。


「なんのために俺がいる?...辛い時や悩んでいる時、話してくれないと辛い」


「ごめっ...なさい」


「きっと俺のこと気遣ってくれたのかもしれないけど、そばにいられない分、好きな女のことは全部知りたい」


『好きな女』その言葉に胸がきゅーっと締め付けられる。


「もう菜々子に悲しい思いや辛い思いなんてさせないって言っただろ?...だからもっと頼ってくれ」


胸が苦しくて言葉が出ない代わりに、私は何度も首を縦に振った。


「これから先もずっとだから、な?」


そう話す圭吾さんを見つめると満足そうに笑っていて。

その表情に私の胸はまた締め付けられる。


圭吾さんが好きで大好きで。
どうしようもないくらいこの人にハマっている。

なんでこんなに好きなんだろう?って誰かに聞きたいくらい好き。


「菜々子...」


色っぽく私の名前を呼ぶ声にうっとりしつつも、近付いてくる圭吾さんにはっと我に返る。


「けっ、圭吾さん!ここ会社!会社です!」


いくら就業時間を過ぎているとは言え、残業している人は何人かいるだろうし、いつ誰がここを通って見られるか分からない。



< 79 / 368 >

この作品をシェア

pagetop