オモイデバナシ
切符を買って、渡船に乗り込む。

乗り場から島までは、ほんの何十メートル程度。

五分もしないうちに島へと着いてしまう。

「このくらいなら、泳いでいけるかも」

俺が何の気なしに呟くと。

「えーっ、こうちゃんすごーいっ!」

千秋が羨望の眼差しを俺に向けた。

「いや…そうは言っても波が穏やかじゃないと無理だけどな」

「それでもすごいよー。こうちゃん確か中学の時は水泳部だったんだよね?」

「ああ」

県大会までは出たものの、予選落ちだったけどな。

「それでもすごいよー」

千秋は大袈裟なくらいに、すごい、すごいと連発した。

恥ずかしいけど、悪い気はしない。

…そんな話をしているうち、船は島側に差し掛かった。

「よっと」

船から桟橋に飛び移る俺。

千秋もそれに続いて、おっかなびっくりで桟橋に飛び移る。

さぁ、いよいよ島に上陸だ。

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