オモイデバナシ
島は岩場が多く、海水浴場までは少し歩かなければならない。

海水浴場までの道中には、釣り客もちらほら見受けられた。

ここらは鯛も有名で、この島の近くで鯛飯は名物らしい。

そんな釣り客を横目にひたすら歩くと。

「わあっ」

千秋が声を上げた。

島の少し奥まったところに、綺麗な白い砂浜がある。

海水浴場に到着だ。

それほど広くない海水浴場。

貸しボートや、こぢんまりとした海の家があるものの、どこかプライベートビーチのような雰囲気さえ漂う、本当に静かな海水浴場だった。


「すごーい、きれーいっ!」

千秋は砂浜に荷物を投げ出し、裸足になって波打ち際まで走っていく。

俺も千秋のバッグの横に荷物を置き、その姿を眺めた。

「すごいよこうちゃん、ここ魚がいる!」

「そりゃいるだろ、海だもの」

苦笑する俺にも気づかず、千秋は目を輝かせて海の様子を見ていた。

やがて、いてもたっても居られず。

「こうちゃん荷物見てて!水着に着替えてくる!」

千秋は更衣室に走っていった。



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