オモイデバナシ
「千秋の事もおばちゃんから聞いたぞ。看護師目指してんだって?」

「うん、今は看護学校行ってるの」

千秋は頷く。

「注射の練習とか?」

「そうそう」

そう言って千秋はニンマリ笑う。

「こうちゃん、練習台になってくれる?」

うへー、そりゃ勘弁。

いくら千秋の頼みでも、それは許してもらわないと。

注射、好きな訳じゃないしな…。

そんな話をしていると、いつまで経っても話題には事欠かなかった。

三時間でも四時間でも話していられそうな気がする。

…端で聞いていた母さんもそう感じたのか。

「あんた達どうせなら、これからデートでもしてくれば?」

いきなりとんでもない事を口にした。

「「え?」」

俺と千秋の声がはもる。

なんか昔もあったな、こんな事…。

デートという単語に、俺も千秋も過剰に反応してしまっていた。

お互いに顔を見合わせて、少し気まずい空気…。

しかし。

「せっかくだし…行く?」

俺に判断を任せる千秋は、相変わらずだった。


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