オモイデバナシ
いつの間にか、泣いたカラス二人はもう笑っていた。

三人で、持ち寄った玩具で遊んだり、土管だらけのガラクタ置き場に、各自専用の部屋を取り決めたり。

たった三人だけの、秘密基地。

俺達だけの城。

三人だけの空間だったけど、ここが俺達の全てだったし、実際、この空間だけで何もかも満足できた。

「ねぇねぇこうちゃん」

千秋が話しかけてくる。

「今度ここで、パーティーしようよ!」

「パーティー?」

キョトンとする俺。

「ママにお弁当とか作ってもらって、いっぱいオヤツ買ってきて、みんなでここで食べるの」

「いいな!それ!」

俺は目を輝かせていたに違いない。

「トモ、トモは何食べたい?」

すぐに、後ろでロボットの玩具で遊んでいたトモに訊いてみる。

「んー…」

しばらく考えて。

「ハンバーグ!」

トモが言う。

「千秋は?」

「オムレツ!」

「俺はカレーが食べたい!」

こんな土管だらけの場所で、誰がそんなの作ってくれるんだろう?

でもそんな疑問は、どうでもいいのである。

夢と想像力だけで、とても楽しかった。
< 7 / 96 >

この作品をシェア

pagetop