オモイデバナシ
そのまましばらくゲーセンで遊んだ後、出る頃には夕暮れだった。

あんなにどんよりと空を覆っていた梅雨の曇り空は、見違えるほどの綺麗な夕焼け空に変わっている。

「なぁ千秋」

俺は千秋の方を見る。

「ゲーセンに付き合ったんだから、今度は俺に付き合ってくれよ」

「ん?いいよ」

千秋は横目で俺を見てニコッと笑う。

…二人とも車に乗り込む。

俺が車を走らせたのは、前に行った海水浴場の方だった。

夏とはいえ、まだ梅雨のはしり。

海開きも済んでいない事もあって、この近辺に人は少ない。

船で島に渡るのではなく、そのまま山の方へ。

…少し登った所に、海を見渡せるいい景色の場所があるのを、前に見つけておいた。

「ほら、ここ」

車を停めて、俺は千秋に指差して教える。

「わぁっ!!ほんとだぁっ!!」

天気がよくなって来た事もあり、遠くの海まで見渡せた。

夕焼けに染まる海が、本当に綺麗だった。

< 72 / 96 >

この作品をシェア

pagetop