逆ハーレムに巻き込まれました。
「ったく、『大討伐』の時だって魔力暴走の時だって心配かけさせやがって!
思えば、転校初日から俺に心配かけさせてるよなー?会えたと思ったら決闘申し込まれてるしさぁ」
「ふひゃっ!?ちょ、やめ……!」
思いのほか色っぽいその声に驚いた私は、真っ赤になって腕の中から抜け出そうともがいた。
けれど、ガッチリと固定されたそれはビクともしない。
(もー、誰なのよ一体!)
心の中で叫んでいると、ふとその息から微かにお酒の匂いがする事に気付いた。
……現在この場にいる人間の中で、お酒に手を出すことができるのはガンツ先生だけ。
(……え、まさか)
信じられない気持ちで視線を上げれば、先ほどまでガンツ先生と談笑していたはずのサクヤ先輩がこちらを見て笑っていた。
その手には、まだ中身が大量に残っているワイン瓶。
「……サクヤ先輩ッ、あんたの仕業かぁぁあああっ!」
「嫌だなぁ。僕がセリナさんに何をしたっていうんです?」
普段使っていた敬語すらかなぐり捨てて叫べば、サクヤ先輩は心底心外そうな顔をした。
しかし、その目は確実に笑っている。