桜雨〜散りゆく想い〜
 居間に通された僕は、食卓の椅子を勧められて腰を下ろした。


 「ごめんなさいね、何もないけど食べて行ってね」


 僕が軽く頭を下げた時、部屋着に着替えた薫さんが入って来て僕に言った。


 「こっちよ」


 真剣な面持ちの薫さんを見た瞬間、僕の心臓は激しく脈を刻み始める。


 もはや疑う余地はなく、僕は僅かに残された可能性にすがる事しか出来ない。


 すがるにはあまりにも頼りない可能性――


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