掌編小説集

686.優しい人の落とし穴

例えば体調不良の時

無理しないで休んで良いよとか明日すればいいから早く寝なとか言ってくれる人はとても優しい人だ

だけど言うだけ言ってその人はいつも通りではないか?

いつも通り何もしないでオヤスミと寝てしまわないか?

しかも食事に至っては代案で簡単なモノで良いと言っても作らせて自分では何一つやらず片付けず

寧ろ簡単なモノで済ませた自分偉いとか相手を気遣える自分優しいとか自画自賛のオンパレードではないか?

相手を気遣うように見せてその実治ってからで構わないから全部やってもらう前提ではないか?

優しい言葉を言ってくれるだけで十分?

相手が自分の思い通りに動いてくれるのを期待するのではなくして欲しいことがあればちゃんと言葉にして伝えた方がいい?

家事ややることが溜まってしまっていてもそう言える?

しんどくても治っても元気でも結局全て自分がしなければならないんだよ?

仕事なら残業続きに大変だねと言いながら仕事を積み上げて先に帰るようなもの

口ではいくらでも綺麗な言葉で寄り添えるよね

言うだけの口先ばかりで行動が伴わない人はこちらが期待も何もしなくても言いっ放しがストレス

因みにその人が体調不良の時は優しい言葉をかければ鬱陶しがり気遣って行動してもお礼も言わない

察してと言っているわけではない

ただ自分ならば相手の為に何かしたいとか何か出来ないかとか思わないのだろうかと思うだけだ

今の体調は?
何か変化は?
水分はとれているか?
食べられるものは?
汗はかいていないか?
着替えは必要か?
室温は適温か?
薬は?
病院は?
仕事場には連絡したか?

優しいだけの人ではなく思いやりのある人は相手の立場になって行動しようとする人

顔面蒼白のグロッキー状態では慰めにも励ましにもならない

言葉の顔ぶれは変わらず行動には移さない

溝を埋めるどころか蟠りを未来永劫広げる一方

柔らかな風合いのイメージに騙されるな

全くもって似て非なるものだ

結局はどれだけしてもらえるのかということかもしれないけれども

してもらえなかったのに自分が相手にしてあげたいとも思えない

何故ならそういう時に人間の本質が出るからだ

人に優しい言葉を掛けれるのは素晴らしいことだけれど

的外れが怖いなら聞けばいいから

相手の負担を減らしたり肩代わりしたり

どうすればいいかと行動出来る人であって欲しい
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