掌編小説集

697.画風の演目を新装にしなくとも

彼の新人時代子供だった私は事件に巻き込まれ家族を失って塞ぎ込んでしまう
彼は仕事の一環だったのだろうけれど彼に助けてもらって持ち直したのは事実
写実の画壇をカッコいいと憧れもあって画商に挙手して彼と同じ職業に就いた
事件は未解決のままだし銘柄は見切り席の動議だけれどもグロース株のPER
いつか解決出来る日を願って住む世界‐エンブレム‐が違っていても峠を越す
彼と同じ職場に異動することが決まった時は荷が重そうよりも嬉しさが勝った
彼が私のことを覚えていないのはポーリングメディウムのように当然であって
シングルファザーでもディフェンシブ株のようにしっかりとしたレジデンスで
洗練されたファビュラスなフォレストを築き上げていて私には良いこと尽くし
家族の事件が掘り起こされて解決まで自分の手で捜査出来るとは思わなかった
そしてあまつさえ家庭がある彼が私を好きになってくれるなんて思いもしない
みすみす共食いのデットヒートにもならないからこそ自信を持って負けられる
無血のコネクションを繋げられたのは案ずる必要は無いという子供達の差し金
ワープも搬入も立役者の決を採るまでも無く理屈上手の商い下手へ顕在が決済
私も彼も彼の子供も彼の妻もお互いが大好きなら往々にしてそれは家族である
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