掌編小説集

709.ソサエティなど雑草で構わない

俺達は良い家族だったか?

良いか悪いかなんて私には分からない

嘯いているつもりは毛頭ない

端ではあったけれども端っこではなかったマタニティ

私にとって家族の基準は貴方達だから

血縁関係なんて遥か彼方のありもしない天から

オフィサー気取りで一方的に送り付けられた

往復ハガキにはなり得ない手紙でしかないのだから

大切な人ならばその関係性の名前はどうでもいい

大切な関係が立ち漕ぎをしたって分からないから

愛情のモノマネをしながら私は国を守っているけれど

組織に必要とされなくなるのが定年ならば

社会に必要とされなくなるのが寿命ならば

システムのメンテナンスと切り替えで

セキュリティが切れる隙間を狙うように

確実にシロだと分かればそれは遠回りではなく

着実にクロを絞り込めるのだから

何者でもない個人に必要とされるだけでいい

だけど少なくとも判断基準を委ねて求める程の存在に

私がなっているみたいだから良い方なんじゃない?
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