別れの理由
「ゆっくり話そう?」
彼女と初めて会ったその日から、
その言葉だけが、リフレインしていた。
俺の頭の中で、その言葉が繰り返されるたびに、
今も残る優しくつかまれた腕の感触……。
そして、
薄らいでいたはずの、あの衝撃が蘇ってくる。
しかし――
俺はただの男。
そんなこと、有り得ない。
それでも、
――待てよ?あり得ん話でもない。
そんな思いも、突き抜けていく。
だって――
俺は、女に不自由したことがないから。
かといって、
真剣に付き合った女はいない。
そして、
本気で誰かを愛したこともない。
〈ねえ…ホントにアタシのこと愛してくれてるの?〉
女なんて、みんな同じだから――