身代わり姫君の異世界恋綺譚
真白はまだ力の入らない身体で、車イスから降りた。

逃げようとした。

だが、車イスから降りると足に力が入らず、その場に倒れそうになる。

「何をしている!?」

男性の声に真白はビクッと身体を震わせた。

「あ、あの……私に治療は必要ありません」

うつむきがちに言うと、立ち上がろうとした。

そこへ腕が脇の下と膝裏に回り、ふわっと自分の身体が持ち上げられた。

「えっ!? あ、あのっ」

お姫様抱っこで、白いソファの上に座らせられてしまう。

「無理をしてはいけない」

その声は最愛の人の声に似ている気がして真白は顔を上げた。

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