身代わり姫君の異世界恋綺譚
「あっ!」

目の前に立っている白衣を着た人は紫鬼に似ていた。

――ううん。似ているどころじゃない。そっくり……。

まじまじと顔を見つめると、その人は口元を緩ませた。

「どうかしましたか?」

「え? いいえ……」

――会いたかった人に似ているって言ったら笑われるよね。でも本当に良く似ている。髪の色と瞳の色は全然違うけど……。

「……真白」

愛しげに名前を呼ばれて真白の目が大きく見開いた。

――えっ?

ドクターは真白をじっと見つめていた。

――普通だったら、真白さんとか上条さんって呼ぶはず……。もしかして……。

「……紫……鬼?」

その名前を口にするのは勇気がいった。

紫鬼の名を呼ぶ声は震えていた。

――まさか、違うよね? 紫鬼がこの世界にいるはずが――。

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