身代わり姫君の異世界恋綺譚
「そうだ。真白。思い出したのか? 覚えていなかったらどうしようかと思っていた」

真白の目が大きく見開く。

そして、紫鬼の腕が真白の髪に伸ばされたと同時に真白は両手を広げて抱きついた。

「紫鬼っ! 紫鬼っ!」

子供のように泣きじゃくりながら、紫鬼の名前を口にする。

「会いたかったの! 紫鬼っ……」

――私は夢を見ているのだろうか。紫鬼に会いたくて、本当に頭が狂ってしまったの?

だけど、抱きしめる身体は実体のようで……。

「本当に紫鬼……なの?」

顔を上げ、もう一度紫鬼の顔を見る。

「真白、もう私は紫鬼ではない。紫籐 聖(しとう ひじり)と言う名なんだ」

紫鬼は再び真白の身体に腕を回した。

薄着の真白はいかに身体が弱り痩せてしまったかを実感する。

「紫藤 聖……紫鬼っ! 分からないよっ。どうしてこの世界にいるの? あの時私はどうなったの?」

興奮気味の真白に紫鬼は身体を離し、真白の隣に座った。

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