ただ、名前を呼んで

空気の流れがピタリと止まったかのような感覚に陥る。

母も内藤さんの奥さんも呆然とし、空気が重くて僕は息すらできないような気がした。

内藤さんの頬を伝う涙だけが、時の流れを示していた。


父が死んだという事実。

言ってはならなかった事。
いや、言うべきだった事?

内藤さんの言葉は、母の心にどう伝わったのだろうか。


母の反応が怖かった。
だけど目が離せない。

母の肩がガタガタと震え始める。
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