ただ、名前を呼んで
階段のカンカンと響く音を追って駆け上がり、もうすぐ最上階という所まで来た。
息が切れ、足はだるくなってきたけど、休む訳にはいかない。
すると錆びた鉄のズレる音が不快に響いた。
薄暗い階段に光が滲む。
母が屋上への扉を開けたんだ。
最後の踊り場に這いつくばるようにして辿り着くと、溢れる光に包まれていく母の後ろ姿が見えた。
それはまるで、光の中に消えていったようにも見えた。
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