上司のヒミツと私のウソ
屋上には薄闇が漂いはじめていた。
まだ明るさを残す空は刻々と色を変え、筆で掃いたように薄い雲が帯状にひろがっていた。
しばらくの間、私たちは並んで暮れ初む空を眺めていた。
やがて矢神が「もどるか」と掠れた声でいい、二人で屋上をあとにした。
翌日、私は午後から出勤するために仕度を調えていた。
矢神が休日返上で仕事をすると聞き、のんきにゴールデンウィークを楽しむ気が失せた。
もともと旅行などの特別な予定は入れていなかった。一日だけミサコちゃんと会う約束をしていて、ついでに実家に顔を出そうかとおもっていた程度だ。
五日間も矢神に会えないことを、この期におよんで淋しいなどと感じているわけではない、と自らにいい聞かせる。私自身も、片付けなくてはならない仕事がデスクに山ほど溜まっているのだ。
まだ明るさを残す空は刻々と色を変え、筆で掃いたように薄い雲が帯状にひろがっていた。
しばらくの間、私たちは並んで暮れ初む空を眺めていた。
やがて矢神が「もどるか」と掠れた声でいい、二人で屋上をあとにした。
翌日、私は午後から出勤するために仕度を調えていた。
矢神が休日返上で仕事をすると聞き、のんきにゴールデンウィークを楽しむ気が失せた。
もともと旅行などの特別な予定は入れていなかった。一日だけミサコちゃんと会う約束をしていて、ついでに実家に顔を出そうかとおもっていた程度だ。
五日間も矢神に会えないことを、この期におよんで淋しいなどと感じているわけではない、と自らにいい聞かせる。私自身も、片付けなくてはならない仕事がデスクに山ほど溜まっているのだ。