上司のヒミツと私のウソ
 視界の端で西森の横顔をうかがいながら、そういえば西森は二十九だったな、と思い出す。

 彩夏のほうが年上なのだ。とてもそうは見えない。

 彩夏がせめて西森くらいしっかり自分を見据えてくれていたら、こんなふうに他人の俺が心配することもなかっただろうに。


 だが。


 どれほど心配したところで、たとえ彩夏が隼人とのことで苦しんでいるとしても、俺にできることはなにもなかった。

 彩夏を心から笑わせることができるのは、昔も今も俺ではないのだということくらい、わかりすぎるほどわかっていた。




 午前中は、新しくスタートした短期プロジェクトの打ち合わせが入っていた。場所は五階の会議室だ。

 着席すると、いつもとたいして変わりばえのしない顔ぶれが揃っている。
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