上司のヒミツと私のウソ
「でも、仕事の量は以前と変わっていないんです」

 それは、こちらも把握している。


「西森さんがこなしている仕事の量と、会社にいる時間とが、どう考えても釣り合いません」

「……それで?」

「理由はわかりませんけど、なにか、ほかのことをしているんじゃないでしょうか」


 安田は両手を腰にあて、きりきりと眉間に皺をよせて立っている。

 情けなかった。安田にいわれるまで、気づきもしなかったとは。


 毎日西森と顔を合わせ、屋上ではふたりだけの時間と空間を共有していた。そのせいで、すっかりわかっているつもりになっていたのかもしれない。


「わかりました。明日、西森さんとそれとなく話をしてみましょう」

「お願いします」


 満足そうにうなずいて、自分の席にもどる安田を見ると、少し意外な気がした。

 安田は常にマイペースな人間で、こんなふうに他人のことに首を突っこむような真似はしないとおもっていた。


「安田さんは、西森さんと仲がいいんですか」


 すると、安田の背中がぱっと振り向き、「そういうわけじゃありません」ときっぱり否定した。
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