上司のヒミツと私のウソ
「どうして?」

「やりかけの仕事もありますし、引き継ぎだってたった一週間では無理です。それに……」

「大丈夫だよ。なんとかなる。僕も手伝うし」

「部長にそんなこと頼めません」

「なにいってんの。この機会を逃したら二度と企画部に行けないかもしれないんだよ。どうしたの。怖じ気づくなんて西森さんらしくもない」


 めずらしく厳しい顔つきになって、佐藤部長はじっと私を見下ろす。でもすぐに、おなじみののほほんとした笑顔にもどる。


「やりたかった仕事でしょう。がんばって」

 ぽんと肩をたたかれた。





 二月最後の週末は、ゆううつの極みだった。

 入社して以来ずっと企画部で仕事をすることを望み、やっとその夢が叶ったのに、嬉しくともなんともない。
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