上司のヒミツと私のウソ
 宣言どおり、矢神はぱったりと屋上に姿を見せなくなった。どこで喫煙しているのかなんて、もちろん知らない。

 あきれるほど徹底して私を避け、見事なまでに無視してくれる。話しかける隙もなければ、近づくことさえほとんどできない状況だ。


「あ、西森さん。ちょうどよかった」

 安田と一緒に昼休みの外食からもどると、六階の廊下でちょうど執務室から出てきた和田くんと鉢合わせた。


「秋のキャンペーンで使うノベルティ、届いてますよ。とりあえず倉庫に運んでおきましたけど」

「ありがとう。検品しなきゃね」


 和田くんの後ろから、倉庫の鍵を手にした佐野くんが現れた。

「俺たちでやりますよ」

 目の前で鍵をちゃらちゃら鳴らしながら、皮肉めいた表情でちらりと私を見る。


「西森さんは新しいプロジェクトの仕事で忙しいでしょうから。なんせ、宣伝企画でただひとり選ばれた貴重なメンバーですもんね」
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