上司のヒミツと私のウソ
 ろくにこちらの顔も見ずにそんなことをいって、佐野くんは和田くんを連れてさっさと倉庫のほうへ歩いていった。


 そっけない態度といい、なんだかものすごい嫌味に聞こえたけど、気のせいだろうか。

 どうしようかと執務室の入口で立ち止まっていると、「やってくれるっていうんだから、お願いすれば」と安田があっけらかんと助言した。

 そうすることにした。少し気がかりではあったけれど。





 ようすが変だと気づいたのは、キックオフミーティングから一週間後の定例ミーティングのときだった。

 会議室に集まったメンバーの、私に対する態度がこの前とまったく違っていたのだ。


 前回は存在すら認めてもらえず、全員そしらぬ顔だったのに、この日はミーティングが始まる前から誰もが私のことを気にしている。


 でも、目を合わせようとしないし、こちらから話しかけても、とってつけたような返事しか返ってこない。


 妙だった。
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