上司のヒミツと私のウソ
「うれしいですけど、それはちょっと」

「いや冗談とちゃうで。うちは全員大歓迎や。少なくとも企画部より居心地はええとおもうで」

 勝手なことをいうな。

「なあ。おい。ほんまにそうしたほうがええんとちゃうか?」

 急に台詞がこちらを向く。


「なにがです」

 平静を装ったつもりだが、自分の声に微少ないらだちがまぎれこんでいるのがわかり、ますますいらだつ。


「だから、西森さんのこと。企画部でいじめられてろくに仕事もできへんのやろ」

「そんなことありません! 別にいじめられてるわけじゃ……」

 あわてて西森が弁明する。

「やりにくいのはたしかやろ。この際、企画部を離れたほうがええんとちゃうか」

「その話ならもうすんでますよ」

 ノートパソコンを抱えて席を立つ。
< 439 / 663 >

この作品をシェア

pagetop