上司のヒミツと私のウソ
 本間になら西森を任せられる。

 だが、問題はどうやって本人を説得するかだ。西森のことだから、よけいな意地を張って簡単にはうなずかないだろう。


「矢神課長」


 窓の外が薄暗くなりはじめた夕暮れどき、屋上で一服しようと執務室を出たところを荒谷につかまった。

「ちょっと、いいですか」

 噛みつくような語気で、そのままミーティングルームに連れこまれる。

「松本さんのことなんですけど」


 なにを聞かれるかは当然ながら予想できた。


 荒谷の性格を考えれば、自分でたしかめずにはいられないのだろう。友人のためというよりも、八割がた自分の好奇心を満たすためのようにもおもえるが。


「もし嘘をつかれているのなら、私にだけほんとうのことをいってくれませんか。松本さんには黙ってますから」

 なんのことだ?
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