上司のヒミツと私のウソ
ふたりの間に横たわる空気の静けさが、相田の気持ちを物語っているようにおもえた。
相田の広告にかける思いの熱さにほだされて、帰路についても興奮が冷めず、社にもどって夜遅くまで仕事に没頭した──三年前にこの場所で得た興奮が、幻のように遠く感じる。
「実は、勝手を承知でお願いにあがりました」
『RED』についてまとめた企画書をテーブルの上に置く。手短に説明を終えても、相田は資料に目を通そうとしなかった。
「矢神さん」
隙のない厳しい言葉が返ってきた。
「三年前、私はあなたや本間さんを信頼して仕事を引き受けました。ですから、あのときのことをどうこういうつもりはありません。ですが、これからのこととなると話が別です。一度根底から崩れた信頼関係をとりもどすのは、そう簡単なことじゃない。あなたにもわかるはずだ。もう三年前と同じようにはいかない」
相田の表情はあくまでおだやかだったが、声には断固とした響きがあった。
返事は覚悟していたとおりのもので、利益よりも信頼関係を重んじる相田らしい、至極当然ないい分だった。
相田の広告にかける思いの熱さにほだされて、帰路についても興奮が冷めず、社にもどって夜遅くまで仕事に没頭した──三年前にこの場所で得た興奮が、幻のように遠く感じる。
「実は、勝手を承知でお願いにあがりました」
『RED』についてまとめた企画書をテーブルの上に置く。手短に説明を終えても、相田は資料に目を通そうとしなかった。
「矢神さん」
隙のない厳しい言葉が返ってきた。
「三年前、私はあなたや本間さんを信頼して仕事を引き受けました。ですから、あのときのことをどうこういうつもりはありません。ですが、これからのこととなると話が別です。一度根底から崩れた信頼関係をとりもどすのは、そう簡単なことじゃない。あなたにもわかるはずだ。もう三年前と同じようにはいかない」
相田の表情はあくまでおだやかだったが、声には断固とした響きがあった。
返事は覚悟していたとおりのもので、利益よりも信頼関係を重んじる相田らしい、至極当然ないい分だった。