最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
最後の願い 恭子Side

私は生まれながらに心臓が悪い。奇形なのだという。物心がつく前に心臓の手術を受け、胸の真ん中には縦に走る醜い手術の跡が残っていた。

でも、当時の技術では完治は不可能で、学校に入ってからも再度手術を受け、計3回も手術した。当然ながら、胸の傷はますます醜く、大きくなってしまった。


体育の授業は常に見学。運動はもちろん、階段を上ったり、長く歩いたりするとすぐに心臓が悲鳴を上げた。私はそんなオンボロな心臓を、どんなに恨んだ事か……


お母さんも心臓が弱い。だから遺伝なんだと、お母さんは事あるごとに私に言い、「ごめんね」と言った。でも、私はお母さんを恨む気にはなれない。私を産むのはそれこそ命がけだったらしい。それを聞けば、産んでくれた事を感謝する気持ちだった。でも……


私なんか、生きる価値があるのかな。

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