最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

食事が終わり、食器を下げてもらってコーヒーのホットを二人で飲んでいる。


「今日の恭子さんって……」


ん、なんか駄洒落みたいだな、これ。


「ん?」

「金曜と全然感じが違いますね? あの時は具合が悪かったからですか?」

「ああ、そうね……」


と言ったきり恭子さんは黙ってしまった。俺、まずい事言っちゃったのだろうか、と思ったのだが、


「ううん、違うの。あれが普通だったの。先週までの私と、今の私は全然違う。まるで生まれ変わったみたいで、自分でも驚いてるの」

「そうなんですか? 何かいい事でもあったんですか?」

「それ、本気で聞いているの?」

「はい、もちろん」


いったい恭子さんに何があったのか。俺が興味深々で恭子さんを見てたら、恭子さんは俯いて顔をポッと紅く染めた。


「あなたのおかげよ。私を……抱いてくれたから」


それは蚊の鳴くような小さな声だったが、俺にはしっかりと聞き取れた。


「あんなセックスでですか!?」

「ちょ、声が大きい」

「大丈夫ですよ。だれも聞いてなんか……」


と言いながら隣に目をやったら、OLさんが二人して、目をまん丸にしてこっちを見ていた。


あっちゃー。

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