最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

恥ずかしいが、この話題を俺は続けたい。さっきは言いそびれたが、ぜひ恭子さんに言っておきたいんだ。

俺は体をいくぶん前に倒し、「もう……」とか言って赤い顔をしている恭子さんに顔を近付けた。


「恭子さん」

「何?」

「あんなの、全然ですよ?」


すると、恭子さんも顔を前に出し、


「そうなの?」


と言った。俺と恭子さんの顔の距離は30センチかもっと近いか。お互いにヒソヒソ声だから隣のOLさん達には聞こえないだろう。


「そうです。アレって、本当はもっと気持ちよくて、楽しいものなんです」

「ほんとに?」

「はい。今度教えてあげますね?」

「今度って、いつ?」

「いつでもいいですよ」

「じゃあ、今夜でも?」

「い、いいですよ」


元の姿勢に戻ったが、今夜また恭子さんを抱けると思ったら楽しみでしょうがない。下半身もすっかりその気になって……って、おい!

もうすぐ立たなきゃいけないのに、オマエが立ってたら立てないだろうが!


と、わけの分からない事を言いながらテーブルの下で下半身を手で押さえていたら、横の方から視線を感じた。ふとそっちに顔を向けたら、隣に座るOLさんが、顔を真っ赤にしてこっちを見ていた。


しまった……
真横からだと俺の仕種が丸見えじゃんか!


かっこわりい……。しばらくはこの店に来れねえよ……
おかげで立ち上がる事はできたけれども。

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