202号室の、お兄さん☆【完】

お風呂上がりなのに、顎に髭があって剃ってない事に笑ってしまいました。

――よし、帰ろう。

会えただけで良かったし、少しだけ見れて元気が出たから。


そう思って、こっそり池の死角や岩に隠れ帰ろうとしていたら、

ヴーヴーヴーヴー


「きゃっ」

け、携帯が鳴って驚いてしまいました。

慌てて落とした携帯を、手探りで探していると







「――みかど?」

「っ」

気づかれて、……しまいました。

すぐに立ち上がり後ろに下がると、裸足のまま縁側を降りた彼が、此方に向かって来ます。

手には携帯。

もしや、携帯を鳴らしたのは……。

じりじり下がりながら携帯を見つけ、確認すると



『孔礼寺 岳理』


とはっきり表示されていました。


「お前、こんな時間にどうした?」

心配してくれている岳理さんが近づいてくるのが、怖くて、

でも何で怖いのか分からなくて、


私は踵を返し、慌てて逃げ出しました。




「みかど!」


お、追いかけないで下さい!
< 266 / 574 >

この作品をシェア

pagetop