202号室の、お兄さん☆【完】
私は目をパチパチした後、首を傾げた。

「お兄さんの……?」

すると、皇汰は私の頭を軽く叩き、そのままその手を握りしめた。

「馬鹿! 千景さんが言ってたろ! 『風の関係で、下着がよく鳴海さんの窓の柵にかかる』って」
「あっ」

「今、柵には、でぶ猫が居る。きっとその下に、千景さんの……。で、不審者はでぶ猫がどかないか、何回も確認してるんだよ」

なる程!
流石、皇汰。某有名私立中学、首席で生徒会長でバスケ部部長! 頭の回転が凄すぎる。


「あ、皇汰も定宗さんに挨拶しなきゃだね」
「あぁ!? 今は千景さんの話だろ?」

正確には、千景さんの下着ですけどね。
でも、皇汰の正義感がウズウズしているのは分かった。
けれど、相手は大人だし危険な人かもしれないから、関わらないで欲しい。

「警察に電話……」
「馬鹿かっ 警察に詳しく事情聴取されたり下着を証拠品として押収されたら、傷つくのは千景さんだぞ」

何か、話が飛躍してはいませんか……?


「そこで、おとり捜査だ。姉ちゃんの下着を貸せ」

嗚呼、前言撤回。
正義感だ何か言うより、やっぱり馬鹿だ!!


『ニャアアアア』

「!?」

威嚇するような、定宗さんの鳴き声に、私たちは外を見た。
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