202号室の、お兄さん☆【完】

「お、お兄さん!! 私、私を呼んで下さい!!」

お兄さんの胸元の服を引っ張りながら、私もい、言わせて頂きます!


「私が、私がお兄さんの壁をぶち壊したかったのは、もっと、もっとお兄さんを知りたかったからです!
距離があるのが嫌だったからです!



ひ、1人で苦しませる為に、壁を壊したわけでは無いです!」

1人でポロポロとお兄さんを泣かせていたなんて、私、後悔しても、し足りないです。



「……ない?」

お兄さんは目を覆う岳理さんの手を、握り締めながら微かな声で言いました。




「僕、……格好悪くない……?」

「っ! 格好悪くなんてありません!」

頑張ってるお兄さんがどうして格好悪いのですか!!!


「は……恥ずかしくて、情けなくて……」

そう言うので、私はゆっくり岳理さんの手をどけて、涙を流すお兄さんの瞳に手を伸ばしました。




「それは、今が楽しいから、過去が苦しいだけです。

苦しくなったら、頼って欲しいんです。私なんかで良ければ、名前を呼んで欲しいのです」


そう言うと、震えるお兄さんの両手が、

恐る恐る、私に伸ばされました。



「み、みかどちゃん……」


 
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