202号室の、お兄さん☆【完】
「はい」
「みかど、……ちゃん」
「はい!」
そう言って、お兄さんの両手を握り締めると、お兄さんは倒れ込むように私の胸に飛び込んで来ました。
「ほわっ!!」
尻餅を尽きそうになった私を、岳理さんが床ギリギリで腕を掴んでくれました。
「みかどちゃん、みかどちゃんみかどちゃんみかどちゃんみかどちゃん」
「はい」
壊れたように縋るお兄さんは、
繊細で今すぐ消えてしまいそうで、儚くて……、
――守ってあげたいと思いました。
「みかどちゃん、みかどちゃん」
「今日はずっとそばに居ますので、どうか眠って下さい」
「みかどちゃん……」
恐る恐る、お兄さんのサラサラの髪を触ったら、
安心したように微笑んでくれました。
「ありが、とう―……」
そう言って、お兄さんの身体から力が抜け、
泣き疲れたお兄さんは、私の膝枕で眠ってしまいました。
愛しくて、
切なくて、
ずっとずっと抱きしめたい、と、
そう思ってしまいました。