プラスティック・ラブ
それから3日後、コンペが終わった。
新館の設計は勇人がすることになった。


彼の滞在も終わったので、私の勤務も通常に戻った。
変則の無休勤務を終え、与えられた週末を挟んだ4日間の連休は
勇人とともに私の部屋で過した。


彼は高校を卒業してから再会までの空白を埋めるかのように
激しく私を求めた。昼夜も場所も問わない勇人の貪欲さに感じた戸惑いは
次第に激愛される歓びに変わっていった。
私は甘く過ぎて行く時間に陶酔した。


その後、石井君と結那との披露宴への出席を承諾した勇人は
1ヶ月の予定だった一時帰国を年末まで延ばした。
その間、仕事を除くプライベートな時間は
僅かな時間でさえ出来る限り私を傍に置きたがり
終には実家を出てマンションを借りた。


その部屋で1ヶ月遅れの勇人の誕生日を二人きりで祝った夜から
私は自分の部屋で過すよりも長い時間を彼の部屋で過ごすことになり
クリスマスイブの結那の披露宴に出る頃には
自分の部屋で朝を迎える事のほうが稀になっていた。



そんな私達の結婚も遠いことではないと
友人達も家族も当然で自然なことのように思い始めていた矢先
結那から受け取ったブーケを手に戻った彼の部屋で
披露宴の余韻から覚めやらぬ私は勇人からのプロポーズを
熱に浮かされたような思いで聞いた。


「次は俺たちの番だ」

「?」

「結婚しよう」


数時間前に見た幸せに輝く結那の姿に我が身が重なった―――



私が結婚・・・? 
するの?勇人と・・・結婚?



ぼぉっと惚けたように勇人を見つめる私に「そうだ。一緒に生きていこう」と
困ったように笑った彼が伸ばした腕に引き寄せられるまま・・・
私の聖夜は勇人の腕の中で静かに熱く更けていった。

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