好きだったよ、ずっと。【完】
「いや、朱里…」



「だって昨日の夜までは好きで抱き寄せたりしないって言ってたのに、やっぱおかしいよ…」



今、春夜と色々話して舞い上がってたけど、実際そう言われたのは昨日だ。



そんな好きだなんて言われても、信じることなんかできないよ…。



「朱里」



優しく名前を呼ばれ、見上げると同時にフワリと抱きしめられた。



拒否したいのに、嬉しくて、もっと抱きしめてほしくて。



「ごめんな、俺お前なら冗談として取ってくれると思ってたんだ」



春夜は、ゆっくりとわたしから離れ、目を合わせた。



「お前をからかってるわけじゃない。璃香のことは好きだったよ。それは認める。璃香が好きだったのに急に好きじゃなくなるのか?そう思う朱里の気持ちも分かる。でも、お前への気持ちは本当なんだよ。お前と話してて朱里が大切だって分かったんだ。俺の言ってること、分かるか?」



「そんなの…、分かんないよっ」



春夜は優しくお母さんみたいに、ゆっくりゆっくり話してくれて。



でもわたしは生意気なガキみたいに、不貞腐れた答えしかできなくて。



はぁ…、と上から溜め息が聞こえてきて、チラリと様子を窺うと明らかに困った顔をしている春夜がいて、またギュッと胸が痛くなった。
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