好きだったよ、ずっと。【完】
「あ、勘違いすんなよ。どうやったらお前に伝わるかなって思っただけだ」



わたしの頭の上にポンと置く、春夜の手の平にまたドキドキして。



もっと、触れられていたいのに、怖くて。



「これは、夢でしたー」



なんてオチが待ってるような気がして。



「朱里、何考えてる?」



でも、確かに春夜はここにいて。



「おい、だんまりか?…ったく」



そう言いながらも、突き放すようなことは決してしなくてショートのわたしの髪を4本の指で何度も掬って。



「お前、ずっとショートなのな?」



そう、優しく言った。



だって、それは…。



「春夜が、似合うって言ったから…」



女なんて単純で好きな人に、「似合う」なんて言われたら服装だって髪型だって、あなた好みになるんだよ。



「俺色に染まって」と言われるのは嫌だけど、「あなた好みの女」になるのは幸せ。



結局は同じことなのかもしれないけど、微妙に違うんだよ。
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