好きだったよ、ずっと。【完】
「どうせ、帰るんだろ?」



「それは……」



「聞いたんだろ?木ノ瀬と今野のこと」



聡は、いつからここにいたの?



わたしたちの会話、聞いてたの?



聡も、春夜と璃香のこと見てたの?



わたしのこと心配して、ここに来てくれたの?



色んな思いが頭を駆け巡って、でも言葉を呑んだ。



「二人は、今どうしてるの…」



「聞かないほうが、いいと思うけど?」



……それは、二人がまだ一緒にいるってことだよね。



きっと璃香が春夜を離さないんだ…、多分。



「……帰る」



「ん、送る」



「いいよ、聡は楽しんでおいでよ」



わたしが一歩前へ踏み出すと、腕を掴まれた。



「朱里が心配だから。ほら、行くよ」



そう言って聡は、わたしの腕を引っ張りちょうどきたエレベーターへと押し込めた。



「なぁ、朱里」



「ん、なに」



聡とは、目を合わせず答える。



「イヤなこと、忘れさせてやろうか」



「……え?」



ふと、顔を上げると聡の顔が近くにあって…、そのままキスをされた。
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