好きだったよ、ずっと。【完】
「最後にしてよ、朱里から」



「え…」



それは思いがけない言葉で、自分でもフリーズしたのが分かったくらい。



「聡も悪いオトコねぇ。そんなに朱里ちゃん、落としたかったの?」



「うん、結構本気になった」



ウソ、でしょ?



忘れさせてやるって、ただの気まぐれで言ってくれたんじゃなかったの…?



あの夜の時のように…。



「ね、朱里。最後に、ちょうだいよ。偽物でもいいから」



ど、どうしよ…。



こんな時、どうすればいいの?



花音さんを見れば、「キスくらい、イイじゃないの。減るもんじゃないし」って言うし。



なつこさんと裕也さんを見れば、苦笑してるだけだし。



そんな時だった。



バンッ、と扉が開いたのは。



「朱里っ!!」



王子様が、迎えに来た。



だけど、「朱里、ごめん」そう聞こえたと同時に、春夜の姿が見えなくなった。



「ごちそうさま」



目の前には、聡がいて。



え、わたし…、キス、されたの…?



春夜の、前で…?



「テメ、ふざけんな」



「は?ふざけてないけど?」



春夜が声を荒げるも、聡はシレッとしていて。



わたしは、そんな二人をただ茫然と見ることしかできなかった。
< 218 / 267 >

この作品をシェア

pagetop