好きだったよ、ずっと。【完】
「えぇと…、聡は。優しくて、思いやりのある人だと思います…」



「それだけ?それだけなら、他にもそんなオトコたくさんいると思うけど」



うーん、そうだよね…。



更にわたしは、聡の良さを考えた。



春夜の視線を感じたけど、気付かなかったことにしよう。



「人の気持ちが、分かる人…」



あの夜、わたしは誰にでもイイから忘れさせてほしかった。



だけど、聡は途中でやめたんだ。



わたしは春夜を好きで、でも忘れたくて。



そんなわたしを、無理矢理抱こうとはしなかった。



あれは、人の気持ちが分からない人にはできないことだと思う。



「じゃぁ、いただきます。ごちそうさまでした」っていうオトコが大半だと思うから。



今、思い出しても聡には感謝している。



わたしを、そういう「誰とでも寝るオンナ」にしないでくれたのだから。



「わたしがトイレに立った時、心配して付いてきてくれたんでしょ?」



あの夜のことは言わず、こっちの話をだした。



「ん、あぁ。木ノ瀬が今野のところに行って、その様子を見てた朱里が苦しそうだったから。もしかしたら、「帰る」とか言い出すんじゃないかと思ったからな」



ほら、やっぱり人の気持ちが分かるオトコだ。
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