いと甘し。
私が斎藤に憎しみの念を込めて睨むと、彼は可笑しそうに笑った。そして「明日は学校来いよ」と不登校児に言ってはいけないランキング1位の言葉を述べて歩き出した。
彼の長い影が見えなくなったのを確認して、お茶の入ったコップとお客さんから貰った袋を持って厨房へ向かった。
エプロンのポッケには畳んだプリントが入っていて、カサカサと音を立てている。
「さっき来てたのは、斎藤君かい?」
持っていたお盆を棚に置いて、タエさんはニヤリと微笑んだ。恐らくお菓子を出すときに姿を見たんだろう。
「うん。今日も懲りずに時間割を届けに来たよ」
「あらやだ、良い子じゃない!あんたもそろそろちゃんと学校行ったら?受験生でしょ?」
受験生という単語が私の心臓を射抜く。どうしてこの人はサラリと核心を突くのだろう。本当に恐ろしい人だ。
学校に行かなきゃいけないのは、私が一番分かっている。でも今更どんな顔して教室に入ればいいのだ。
きっとみんな、好奇の眼差しで私を見るだろう。それに耐えられる自信は正直言って、皆無。