いと甘し。



午後4時を過ぎると、店内は打って変わって賑わい、店内にある6つのテーブルのうち4つがお客さんで埋まっていた。


テーブルと椅子は真っ黒で、妙な重量感を帯びている。椅子の背もたれとお尻のところには赤い布がはめ込まれていて、非常に座り心地が良い。

天井の中央にはLED電球が2つ縦に並んでいて、オレンジっぽい光を放っている。そしてテーブルの上には和紙でできた提灯がぶら下がっている。

提灯の光はとても柔らかく心が落ち着く。自分の部屋の電気にするくらいお気に入りだ。



「桜餅1つとむちむちうどん1つね」

「はいよ。全くなんでこんなに忙しくなるかね」

「しらなーい。あ、そういえば緑茶のティーバッグってどこにある?」

「食器棚の引き出しの中、ちなみに右ね」



厨房に入ると、タエさんはあんこを丸めていた。形は全部均等で、重さだって一寸の狂いもない。

忙しい忙しいとは言っているけれど、その状況を楽しんでいるようにも見えた。
和菓子の名前を言う度、彼女の目は爛々と輝くのだ。


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