いと甘し。



なるほど。タエさん宛か。お客さんは紺の浴衣を着た(私が言うのもなんだけど)若々しい男の人で、なぜか分からないが髪の毛は金髪だった。

日本カブレの外国人かしら。それにしては流暢な日本語。しかしあいつめ、こんな若人も手玉に取るとは。



「かしこまりました。タエさんに渡しておきます」

「ありがとうございます」




彼は笑顔でお礼を言いい、カランコロンと下駄を鳴らして外へ出てった。さてと、この紙袋を厨房に持って行こうかね。

そう思い身体の向きを変え歩き出そうとしたら、入り口に見覚えのある人が立っていた。

向こうも私に気が付いたらしく、少し笑って私に手を振ってきた。そしてさも当然と言うように店内に入り、レジから一番近い席に座った。



「…何しにきた、斎藤」



ぶっきらぼうにそう言い、緑茶を汲んだコップを机に叩きつけると、斎藤はニヤリと笑った。


「ただお茶しに来ただけ。あとついでにこれ」



これ、と言って彼が手の平でヒラヒラさせていたのは、高校の時間割が書かれたプリント。

これがついで?ふざけるな。お茶がついでだろう。


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