今日も笑って嘘をつく
「久しぶり。」
私はニコッと笑う。
ーーーさぁ、ここからが本番だ。
絶対に“速水 菜綺”とはバレてはいけない。
偽りの自分をつくる。
今から私は“菜綺”じゃなくて“菜月”だ。
「おォー。
それに千鳥さんまでいるじゃね〜かァ。感激だなー。こんな有名な情報屋さんにあえるなんて〜。」
なーんて言いながら、千春の手を握ろうとする秋。
「ども。」
でも、それを千春が許すわけもなくぱちっと手を振り払った。