世界で一番、ずるい恋。
やっぱり、好きになってほしいし、先生にとっての特別になりたいよ。
私を見てほしい、そう思うの。
恋をしたら抱く当たり前の感情は、ちゃんと持ち合わせてる。
「よーし、面倒だから今日の授業終わりっ!」
バタンと教科書を閉じて笑って見せた先生に、教室が歓喜に沸く。
「浩也、適当すぎー」
「さすが浩也~っ!」
そしてみんな顔をほころばせながら、口々にそう言う。
「おい、お前ら。浩也って呼ぶな、先生だろ?」
そんな生徒たちに呆れながらも、どこか楽しそうな先生。
こういう光景を目の当たりにすると、私のなかで先生と生徒って壁は、思ってるよりもずっと分厚いってことを思い知らされる。
私は、みんなみたいに浩也って呼べない。
先生にあんな顔をさせれるような接し方が出来ない。
緊張しちゃうから、自然体を装うのに精一杯なんだ。